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オーディオは楽しい
2009年 01月 21日 (水) 13:09 | 編集
オーディオは楽しい。

いまさらながら、長年オーディオと関わってきて、最近になってようやく「オーディオは楽しい」と思えるようになった。

オーディオは中学生の頃からの趣味だった。一オーディオファイルとしてさまざまな装置をとっかえひっかえ聴いてきた。色々なところに試聴にも行ったが、結局自分の手元において聴いてみないと納得もできなかった。ある時期には自分の思う音や音楽が聴けずにオーディオに絶望することもあった。
ひょんなきっかけから、音と響きを聴きわけること、にじみが少ない響きが綺麗な音楽が大切であることを理解した。そこに気づくとそれなりに納得の音楽が聴けるようになり、平行して素晴らしい装置にめぐり合うようになったのも不思議なものである。


かつての自分は音を中心に聴いていて、音楽を聴いてはいなかった。細かな音が聴こえると喜び、地を這うような重低音を凄いと思ったこともあった。小さなスピーカーで驚くような低音が出るバックロードホーンに感動したこともあった。後になってそれは遅れた低音のための量感であることに気づくのであるが・・・。けれどもそうした「音を聴くオーディオ」というものは、得てして長時間聴いていると不自然で疲れてくるのだった。

付帯音というものも、きちんと聴き分けていなかったのではないかと思う。「にじんだ音は嫌い」言いながらも、にじみを取り除く作業ではなく、高域を付け足すことを行っていた。明瞭な高域を「音がクリアーになった」喜んでいる自分がいた。
その際たるものがホーンスピーカーであった。ホーンでないとトランペットやサックス、シンバルの音は出ないと思っていた。WE16AやJBL375など良いといわれるものを所有し、音を追及し、それなりに満足もした。しかし、リアル感で言うなら、それはやはりホーンの音であり、リアルとはすこし違う、付け足した音だった。

アナログレコードの方がやはりCDよりも音がよい、と思っていた。
数値のことをいえば、CDとは20kHzまでしかでないから、と値をあげては豪語していた。先日、音声認識装置による実験に携った。オーディオ・楽器・人の声とも20kHzまで出ているものはほとんど無く、10kHz以上も少ないのが現実だった。どうにも数値上のスペックばかり気にしてしまう自分を情けないと思った。そして、20kHzという数値とはこだわることこそバカバカしい数値であることが、数値によって思い知らされた出来事だった。そこで再認識したのは、いわゆる数値上ではスピーカーはフルレンジで充分ではないか、よしんばツイーターを足すぐらいであれば満足のいく音が出るのではないかということだった。

アナログレコードとCDの音は確かに違う。だからといってそれをどちらがどれだけ優れていると比べることは、よっぽど無意味である。アナログは盤を針でこするので、そのノイズが乗り、つながりがよく聴こえ、CDには無い独特のよさがある。CDもAH!のCDプレイヤー、特にプロローグ8については、世界最速のオペアンプによりCDと思えない素晴らしいつながりを実現している。またクロックを含め全てをピンクノイズで統一することで、にごりの少ないバランスのとれた音を表現できている。なぜだか特に低音は素晴らしい。AH!による奇跡とも言うべきCDプレイヤーの進化だった。そしてAH!はおそらくこれからも進化が続いていくのだ。
こうしたプレイヤーを聴くにつけ、CDもアナログもそれぞれを個性として、音楽を楽しむことが出来るのだった。


なんでもそうだが、経験を積んでいけばそれまでの自分の常識が覆ることは多々ある。そして気づくか気づかないかは自身の心構え次第であろう。新しいことへの挑戦は、勇気もいり、知識も必要だ。そのことが自分の常識から離れていればいるほど、試みるのは難しい。だが、それにトライすると今までにないものを発見することができる。
挑戦もときに勘違いや思い込みに陥ってしまうこともある。それを回避するため、新しいものばかりに目をやるのではなく、古いものからも学ぼうとする必要がある。これに気づいたときに、私はオーディオへの絶望から抜け出せたと感じた。古いものだけに浸るのではなく、それを使い、応用し、新しいものと融合させることで、新たな発見や素晴らしい世界が見えてきた。
そして、ようやく「オーディオは楽しい」と思うに至ったのだ。


当店の試聴室の音は日々変化し、進化していると自負する。希望としてはどなたでも好んでもらえる音であるが、それはなかなか難しい。それでも最近ではお客様から当店に対し、勇気付けられるメールや試聴の感想をいただく。また尊敬する先達からのアドバイスもある。オーディオを通じ多くの人々と出会い、感謝に絶えない。
人もモノもそうだが、多くの関わりの中には別れも経験する。哀しいかな、出会いがあれば別れもあるのが世の習いだ。そのことが多くの人の幸せにもつながる、そう望める自分になりたいものだ。得も必要だが、損することも必要だと考える。自分だけが得をする世界はつまらない世界だと思う。「一方を聞いて沙汰するな」というように、考えを柔軟に持ちたいとも思うが、それにより知らず知らずに人を傷つけているのではと反省することも少なくない。このような私の話に傷ついたり、不快に思ったりする人もいることと思う。

こうした話もあくまで私が経験した出来事なので、ご勘弁いただきたい。ただ私の話から何かを発見してもらえるなら、嬉しい限りだ。
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